「時短勤務だからラクでしょ?」
この言葉、悪気なく使われることが多いけれど、聞く人によってはかなりイラっとする一言だと思います。
僕自身、職場や周りで時短勤務をしている女性たちの話を聞く中で、「全然ラクじゃない」と感じている人が多いことを知りました。
時間を短くして働く分、仕事のプレッシャーや周囲の目線、家での負担が増える…。
この記事では、「時短勤務=ラク」というイメージがどれほど現実とズレているかを整理しながら、
実際にがんばっている人たちの立場に立って考えてみたいと思います。
なぜ「時短勤務=ラク」というイメージを持たれるの?

「早く帰れる=自由な時間がある=ラクそう」という単純なイメージ
フルパートや正社員として働く人の中には、
「時短勤務の人は早く帰れていいな」「自由な時間が多くてうらやましい」
と感じる人も少なくありません。
毎日残業や業務量に追われている立場の人から見ると、
定時より早く帰れる=仕事がラクそう に見えてしまうのは自然なこと。
「自分はこんなに頑張ってるのに、あの人は余裕がありそう」
と感じる人がどうしても現れるんですよね。
でも実際には、
時間との戦いや家事・育児のタスクを多く抱えています。
「ラクそう」と思う人は、こういった女性の影の努力を想像できていないのでしょう。
子育てを経験してない人からの勝手なイメージ
育休から復帰して時短勤務を選ぶと、子供の体調不良で仕事を休むといった不可抗力が発生します。
「保育園から呼び出し?先週もあったよね?」
「子供が熱で今日休むの?熱は朝にわかったの?」
そんな言葉をかけられることがあります。
普段から自分の体調にだけ気を配って働ける人にとってみれば、子供の世話で仕事を休むこと自体があまり想像できないんですよね。
独身の方はもちろん子育てのことはわかりませんが、年配の男性社員は子持ちでも「子育てに関与せずに仕事に打ち込んできた世代」のため、子育ての生活リズムや責任の重さがなかなか伝わりません。
こちらからしてみれば、「ラクそうに見えるけど、実際はそうじゃない」。
この小さな誤解が積み重なって、
職場での温度差や気まずさにつながっていくこともあります。
独身男性社員また〇〇さん、子供の事で帰ってる…
僕だって早く家に帰ってモンハンの続きがしたいのにズルい
子育てを知らない上司私の若い頃は、女性は寿退社をするのが主流だったけど、今の女性は育児もしながら働くんだね。
現実はラクどころか“時間にも心にも余裕がない”

限られた時間で同じ成果を求められるプレッシャー、
周囲に迷惑をかけないようにと常に気を張る緊張感。
一分一秒を意識しながら仕事を進める毎日は、
時間との戦いそのものです。
そして、ようやく退社しても“自由時間”が待っているわけではありません。
帰宅後すぐに夕食の準備、子どもの世話、洗濯、明日の準備…。
気がつけば自分の時間などほとんどなく、
体も心も休まる間もなく一日が終わります。
さらに、職場では「早く帰る人」という目で見られ、
家庭では夫から「時短なんだから家のことはできるよね」と、
外でも中でも気を抜けず、
どこにも“安心できる場所”がないと感じる人も少なくありません。
日々の努力や葛藤がなかなか評価されないため、「自分は何をしてるんだろう…」と自問自答をしてしまうのも無理はありません。
時短勤務女性入力の不備があって会社から電話かかってきたけど、忙しすぎたからどこの事を言ってるのか全然思い出せない…
ってかこっちは今スーパーで夜ご飯を考えてたところなのに考える気失せた…
時短勤務が“しんどい”と感じたときの対処法
「時間が足りない」「周りに気を使いすぎて疲れる」
そんなふうに感じるときは、決してあなたが弱いわけではありません。
時短勤務という働き方は、限られた時間の中で仕事も家庭も頑張る“高度な両立”です。
しんどさを感じるのは当然のことです。
大切なのは、ひとりで抱え込まないこと。
少しだけ視点を変えたり、周囲に頼ったりすることで、
心の重さが少しずつ軽くなっていきます。
① 信頼できる上司や同僚に、少しだけ気持ちを打ち明ける
「忙しいのに迷惑かな」「弱音を吐くのは恥ずかしい」
そう思って、つい我慢してしまう人も多いと思います。
でも、家では育児や家事で忙しいのに、仕事のしんどさまでひとりで抱え続けると、心がすり減ってしまいます。
全部を話さなくても構いません。
「最近ちょっと疲れてて」「時間のやりくりが難しくて」と、
ほんの少しだけ打ち明けるだけでも、状況が変わることがあります。
理解のある上司や同僚なら、
業務の分担を見直してくれたり、相談できる環境をつくってくれることも。
そしてなにより“話していいんだ”という安心感が、心の支えになります。
時短勤務女性最近仕事のミス多くてメンタルきつい…
あれだけの仕事量じゃ物理的に厳しいしミスしてもおかしくないよ!
あたし頭にきたから、今から上司に言ってきてあげる!!
時短勤務女性あまり大事にしないでね…(汗)
② 仕事の進め方を変えてみる(完璧を目指さない、優先順位を減らすなど)
時短勤務では、時間が限られている分、
「すべてを完璧にこなさなきゃ」という意識が強くなりがちです。
でも、仕事は“すべてをやりきること”よりも、
“本当に必要なことを見極めること”が大切です。
タスクを整理して「今日はここまでできたらOK」と線を引いて、時間的に厳しいようであれば早めに上司に相談をして仕事を投げてしまうのもアリです。
“できなかったこと”より“できたこと”に目を向けてみましょう。
それだけで、心の負担がかなり軽くなります。
すべて完璧でなくても大丈夫。あなたが努力していることは、見ている人にはちゃんと伝わっています。
③ 家族にも「助けて」と素直に言ってみる
時短勤務で仕事を早く終えても、家に帰れば家事・育児が待っています。
「早く帰ってるんだから家のこともやらなきゃ」と思ってしまう人も多いでしょう。
でも、仕事を早く切り上げても、心も体もフル稼働。
一人で抱え込んでしまうと、疲れが蓄積してしまいます。
だからこそ「この日は洗濯お願いしてもいい?」「子どもをお風呂に入れてくれる?」など、
家族に遠慮なく頼りましょう。
世の旦那さんは、「察することが苦手」という人が大多数だと思いますので、ハッキリと疲れている事や手伝ってほしい内容を伝えることがコツです。
誰かに頼ること、少し手を抜くこと、
そして自分をいたわること。
それは“甘え”ではなく、“これからも自分が子供や家族のために働き続けるための力”です。
時短勤務を乗り越えた人が身につけた“3つの力”
時短勤務というのは、決して「ラク」でも「特別扱い」でもありません。
限られた時間の中で成果を出すために、常に工夫と緊張感を抱えて働く毎日。
でもその経験を乗り越えた方たちは“ある力”を気付いたときには身につけています。
それは、これからの働き方にも人生にも必ず役立つ、大切な3つの力です。
① 時間管理力
「あと〇分で終わらせなきゃ」と、常に時間を意識して動く日々。
その積み重ねによって、効率的にタスクを進める力が鍛えられます。
限られた時間の中で“いま本当に必要なこと”を見極められるようになれるのは、時短勤務という日々の過密スケジュールを経験したからこそ得られる技量だと思います。
おそらく、男性の正社員や管理職の方々とは比べ物にならないくらい、時間の感覚をシビアに捉えられるようになるはずです。
② 判断力と集中力
短時間で成果を出すには、迷っている時間も惜しい。
そのぶん「何を優先するか」「どこに力を注ぐか」という判断が早くなり、集中力も自然と高まります。
これは、どんな働き方にも通じる“決断力”として活きていきます。
なにかチームで物事が行き詰っている時は、時短勤務を乗り越えた方の迅速な判断や意見が、これからの時代はきっと必要になってくるはずです。
③ チーム力と柔軟性
時短勤務では、自分一人で全てを抱え込むのは難しい場面が多くあります。
だからこそ、周囲に頼ったり、同僚に引き継いだりしながら、チーム全体で仕事を進める力が自然と身についていきます。
また、状況に応じて柔軟に考え、行動できるようになるのも大きな成長です。
予定通りにいかない日もある中で、「できる範囲で最善を尽くす」「視点を切り替える」といった姿勢が身につきます。
この柔軟さは、子育てにも仕事にも、そしてこれからの人生にも役立つ“しなやかな強さ”へとつながっていきます。
まとめ

毎日をがんばるあなたにとって、時短勤務は決して“ラクな働き方”ではないはずです。
限られた時間の中で、仕事も家庭も一生懸命にこなすこと。
それは本当に大変で、誰にでもできることではありません。
時短勤務という制度は、まだまだ発展途上。
周りの人も、会社も、どうサポートしていけばいいのか手探りの状態です。
だからこそ、しんどさを感じるのは当然のこと。
あなたが悩んだり、葛藤したりするのは、何も間違っていません。
でも、その中で試行錯誤しながら頑張ってきた経験は、
きっと誰かの“希望”になります。
将来、同じように時短勤務で悩む人がいたとき、
あなたはその人の気持ちを誰よりも理解し、
そっと寄り添える“先輩”になれるはずです。
今はつらい毎日かもしれませんが、
どうか自分を責めずに、自分のペースで歩いていきましょう。

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